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コラム

COLUMN
2021.11.24

廃棄物処理の基礎知識

廃棄物の処理を法律に基づいて適切に行うには、廃棄物処理法の知識が必要になります。

廃棄物処理の現場で知っておかなければならない基礎知識について、その背景を含めて解説していきます。

廃棄物処理法の概要

廃棄物処理法の正式名称は「廃棄物の処理および清掃に関する法律」といい、一般的に廃棄物処理法と呼ばれていますが、「廃掃法」と略されることもあります。

もともとは公害対策として制定された法律ですが、現在では、廃棄物を単に適正処理するだけでなく、資源の有効利用推進の役割も担っています。

廃棄物処理法の目的

(目的)
第一条 この法律は、廃棄物の排出を抑制し、及び廃棄物の適正な分別、保管、収集、運搬、再生、処分等の処理をし、並びに生活環境を清潔にすることにより、生活環境の保全及び公衆衛生の向上を図ることを目的とする。

ここに記載された目的は次の3点に分けられます。

  • 廃棄物の排出を抑制すること
  • 廃棄物の適正な処理をすること
  • 生活環境を清潔にして公衆衛生の向上を図ること

廃棄物の適正な処理とは

廃棄物の適正な「分別、保管、運搬、再生、処分等」の処理をすることをいいます。

廃棄物の定義

「ゴミ」と同じ意味で用いられている「廃棄物」ですが、廃棄物処理法では次のように規定されています。

(定義)
第一条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のものをいう。

個別に明記された種類の廃棄物、また、気体が廃棄物でないということはこの条文で明確にわかりますが、「不要物」については明確ではありませんね。この「不要物」については、法律論争になるほどさまざまな説があり、実ははっきりと定められていないというのが実態です。

最高裁判所の判例や環境省の通知では、廃棄物の定義を「廃棄物とは、占有者が自ら利用し、または他人に有償で売却することができないため、不要になったものをいう」としてうえで、次の5項目を総合的に判断して該当するか否かを決めることとしています。

  • 対象物の性状
  • 排出の状況
  • 通常の取扱い形態
  • 取引価格の有無
  • 占有者の意思

この考え方を「総合的判断説」といいますが、判断を下す人の立場で解釈が異なる場合も多く、廃棄物に該当するか否かは最終的には裁判所の判断を待つしかないため、廃棄物処理の担当者にとっては悩みの尽きないところです。

廃棄物の種類

第二条(定義)
2 この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
4 この法律において「産業廃棄物」とは、次に掲げる廃棄物をいう。
一 事業活動に伴って生じた廃棄物のうち、燃え殻、汚泥、廃油、廃酸、廃アルカリ、廃プラスチック類その他政令で定める廃棄物
二 輸入された廃棄物並びに本邦に入国する者が携帯する廃棄物

一般廃棄物と産業廃棄物

廃棄物処理法では、廃棄物を大きく「一般廃棄物」と「産業廃棄物」に区分しています。

廃棄物処理法第2条第2項では、産業廃棄物でないものが一般廃棄物であると定義され、その後、廃棄物処理法第2条第4項により産業廃棄物についての規定がなされています。

廃棄物を一般廃棄物と産業廃棄物に区分する理由は、法律で定められた処理責任の主体が違うためです。産業廃棄物は排出事業者が処理責任を負い、一般廃棄物は市町村が適正な処理について必要な措置を講ずると定められています。

廃棄物の区分

図のとおり、廃棄物の種類で区分されているのではなく、どこから排出された廃棄物であるかが重要です。たとえば、家庭から排出される廃プラスチックは一般廃棄物ですが、事業活動から排出される廃プラスチックは産業廃棄物として扱われます。

産業廃棄物とは

産業廃棄物とは、廃棄物処理法に定める20種類の廃棄物を指し、すべての業種で産業廃棄物に該当するものと、対象業種が限定されているものに分類することができます。

業種指定のない産業廃棄物

あらゆる事業活動に伴い排出される産業廃棄物は次の13種類です。

燃え殻
事業活動に伴い生ずる石炭がら、灰カス、焼却残灰、炉清掃掃出物等のことをいい、具体例としては、石炭がら、灰かす、廃棄物焼却灰、炉清掃掃出物、コークス灰、重油燃焼灰、焼却灰、すす、廃カーボン類、廃活性炭等があります。
汚泥
排水処理後及び各種製造業生産工程で排出された泥状のもののことをいい、活性汚泥法による余剰汚泥、ビルピット汚泥、カーバイトかす、ベントナイト汚泥、洗車場汚泥、建設汚泥等があります。
廃油
鉱物性及び動植物性油脂にかかるすべての廃油のことをいい、たとえば、潤滑油系廃油、切削油系廃油、洗浄油系廃油、絶縁油系廃油、圧延油系廃油、作動油系廃油、その他の鉱物油系廃油、動植物油系廃油、廃溶剤類、廃可塑剤類、消泡用油剤、ビルジ、タンカー洗浄廃水、タールピッチ類、廃ワニス、クレオソート廃液、印刷インキかす、硫酸ピッチ、廃PCB、廃白土、タンクスラッジ、油性スカム・洗車スラッジ等があります。
廃酸
廃硫酸、廃塩酸、有機廃酸類をはじめとするすべての酸性廃液のことをいい、たとえば、無機廃酸、有機廃酸、アルコール発酵廃液、アミノ酸発酵廃液、エッチング廃液、染色廃液、クロメート廃液、写真漂白廃液、炭酸飲料水、ビール等があります。なお、中和処理した場合に生ずる沈でん物は汚泥として取り扱う
廃アルカリ
廃ソーダ液をはじめとするすべてのアルカリ性廃液のことをいい、たとえば、洗びん用廃アルカリ、石炭廃液、廃灰汁、アルカリ性めっき廃液、金属せっけん廃液、廃ソーダ液、ドロマイト廃液、アンモニア廃液、染色廃液、黒液、脱脂廃液、写真現像廃液、硫化ソーダ廃液、けい酸ソーダ廃液等があります。
廃プラスチック
合成高分子化合物に係る固形状及び液状のすべての廃プラスチック類をいい、たとえば、廃ポリウレタン、廃スチロール、廃ベークランド、廃農業用フィルム、各種合成樹脂系包装材料のくず、合成紙くず、廃写真フィルム、廃合成皮革、廃合成建材、合成繊維くず、廃ポリ容器類、電線の被覆くず、廃タイヤ、ライニングくず、廃ポリマー、塗料かす、接着剤かす、合成ゴムくず等があります
ゴムくず
生ゴム、天然ゴムくずのことをいい、たとえば、切断くず、裁断くず、ゴムくず、ゴム引布くず、エボナイトくず等があります。なお、廃タイヤは合成ゴムのため廃プラスッチク類に分類されます。
金属くず
鉄くず、空かん、古鉄・スクラップ、ブリキ、とたんくず、箔くず、鉛管くず、銅線くず、鉄粉、バリ、切断くず、切削くず、研磨くず、ダライ粉、半田かす、溶接かす等をいいます。
ガラス・コンクリート・陶磁器くず
【ガラスくず】廃空ビン類、板ガラスくず、アンプルロス、破損ガラス、ガラス繊維くず、カレットくず、ガラス粉【コンクリートくず】製造工程等で生じるコンクリートブロックくず、インターロッキングくず、石膏ボードくず【陶磁器くず】土器くず、陶器くず、せっ器くず、磁器くず、レンガくず、耐熱レンガくず、せっこう型、タイルくず等
鉱さい
高炉、平炉、転炉、電気炉からの残さい、キューボラ溶鉱炉のノロ、ドロス・カラミ・スパイス、ボタ、不良鉱石、粉炭かす、鉱じん、鋳物廃砂、サンドブラスト廃砂等をいいます。
がれき類
工作物の新築、改築又は除去に伴って生じた各種廃材のことをいい、たとえば、コンクリート破片、レンガ破片、ブロック破片、石類、瓦破片、その他これに類する各種廃材等があります。
ばいじん
ばい煙発生施設・焼却施設の集じん施設で集められたものをいい、たとえば、電気集じん機捕集ダスト、バグフィルター捕集ダスト、サイクロン捕集ダスト等があります。

業種指定のある産業廃棄物

特定の事業活動に伴う産業廃棄物は次のとおりです。

紙くず
建設業(工作物の新築・改築または除去に伴うものに限る)、製本業、パルプ・紙・紙加工品の製造業、新聞業(印刷発行を行うものに限る)、出版印刷物業(印刷発行を行うものに限る)など
木くず
建設業(工作物の新築・改築または除去に伴うものに限る)、木材・木製品製造業(家具製造含む)、輸入木材の卸売業、物品賃貸業、パルプ製造業、輸入木材の卸売業など(廃木製パレットは業種を問わず産業廃棄物の木くずとなります。)
繊維くず
建設業(工作物の新築・改築または除去に伴うものに限る)、繊維工業(紡績・織布工場など)から排出される天然繊維くずなど
動植物性残さ
食料品・医薬品・香料製造業などにおいて、原料として使用された動物性又は植物性の固形状の不要物
動物系固形不要物
と畜場で処分した獣畜、食鳥処理場で処理をした食鳥など
動物のふん尿
畜産農業などから排出される動物のふん尿
動物の死体
畜産農業などから排出される動物の死体

たとえば建設現場で排出される「廃木材」は「木くず」に該当する産業廃棄物ですが、レストランで使用していた木製椅子を廃棄する場合、レストランは建設業や家具製造業ではないので、同じ「木くず」でも産業廃棄物ではなく一般廃棄物として処理する必要があります。

また、レストランで廃棄される食べ残しは、「動植物系残さ」に該当しますが、木くずと同様に対象業種ではないので一般廃棄物として扱われます。

一方で、古くなった食用油を廃棄する場合、「廃油」は業種指定がないので産業廃棄物として処理する必要があるということになります。

事業者について

廃棄物処理法には「事業者」の定義について規定した条文はありませんが、法人個人を問わず事業をいとなんでいればすべて「事業者」と判断されることが一般的です。

事業を営んでいる法人には営利目的のだけでなく、任意団体、NPO、学校、宗教団体なども含まれます。

これらすべての事業者が「排出事業者としての責任」を負うことになるので注意しましょう。

廃棄物処理には許可が必要

一般廃棄物、産業廃棄物いずれについても収集・運搬・保管・処理を行うには事前の許可が必要です。

行政書士法人ストレートでは主に「産業廃棄物の処理」に関する許可取得をサポートしています。

産業廃棄物処理業許可取得をご検討している方は是非お問い合わせください。

行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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