建設業において、労働者の人手不足を背景に外国人労働者の受け入れを検討したいという方も多いでしょう。
外国人労働者を雇用するにあたって不法就労とならないよう注意する必要があります。外国人採用にあたっての注意点を説明していきましょう。
この記事では、
- 不法就労者を雇った場合の罰則
- 不法就労の具体例3つ
- 在留カードの種類と確認方法
- 工事現場で働ける外国人の確認
- 外国人雇用状況の届出
について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。(2023/5/17更新)
目次
外国人雇用の際は不法就労に注意
外国人を雇用する際は、不法就労に注意する必要があります。
また、不法就労に該当する具体的なケースも紹介していきましょう。
不法就労者を雇うと事業主も処罰の対象となる
不法就労者を雇うと、不法就労した外国人だけでなく、不法就労させた事業主も処罰の対象となります。したがって、外国人を雇用する際は不法就労とならないように注意しなければなりません。
外国人を雇用する際に不法就労者だと知らなかったとしても、在留カードを確認していなかった等の過失がある場合は処罰されることになります。
不法就労助長罪
- 不法就労は出入国管理および難民認定法(入管法)によって禁止されています。
- 罰則は「3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金が科せられる」とされています。
不法就労となるのはどのような場合か?
不法就労となる具体的な3つのケースを紹介しましょう。
①不法滞在者が働く場合
密入国した外国人やオーバーステイの外国人が働く等のケースです。
②出入国在留管理局から働く許可を受けていないのに働く場合
観光や知人訪問の目的で入国した外国人が働く等のケースです。
③出入国在留管理局から認められた範囲を超えて働くケース
外国料理店のコックとして働くことを認められた外国人が、工場で単純労働者として働く等のケースです。
在留カードの種類と確認の仕方
外国人を雇用する際には、不法就労させないために在留カードを確認する必要がありますが、中には在留カードが偽造されている可能性もあります。
コピーの提出では偽造に気づきにくいので、現物を確認しましょう。
なお、法務省Webサイトにて、在留カードが偽変造されているかどうか、目視やWEB、アプリから確認する方法について閲覧できます。
- 在留カードは、新規の上陸許可、在留資格の変更許可や在留期間の更新許可など在留資格に係る許可の結果として我が国に中長期間在留する者(中長期在留者)に対して交付されます。したがって、観光等で一時的に滞在する外国人や不法滞在者は在留カードを所持していません。
在留カードの確認の仕方は次の①、②のとおりです。
①在留カード表面の確認
画像出典:出入国在留管理庁Webサイト
①就労不可
この記載のある在留カードを持っている外国人は原則として就労できませんが、例外もあります。詳細はカード裏面の確認をご覧ください。
②在留資格に基づく就労活動のみ可
在留資格に基づく就労活動であれば就労が可能です。
③指定書記載期間での在留資格に基づく就労活動のみ可
技能実習生はこの記載のある在留カードを所持しています。法務大臣が個々に指定した活動等が記載された指定書を確認しましょう。
④指定書により指定された就労活動のみ可
「特定活動」という在留資格を持っている外国人が所持するカードで、個々に指定された活動しか行うことができません。したがって、法務大臣が個々に指定した活動等が記載された指定書を確認しましょう。
⑤就労制限なし
このカードを所持する外国人は、職業の種類や時間の制限なく日本人と同じように就労できます。
②在留カード裏面の確認
画像出典:出入国在留管理庁Webサイト
次に、在留カード裏面の資格外活動許可欄を確認しましょう。
「就労不可」の在留カードを所持する外国人でも、資格外活動許可欄に次のいずれかの記載がある外国人は就労できます。
許可(原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く)
風俗営業等を除いて週28時間以内の就労が可能です。
許可(資格外活動許可書に記載された範囲内の活動)
資格外活動許可書に記載された範囲内で就労可能です。資格外活動許可書を確認しましょう。
工事現場で雇用できる外国人はどこで分かる?
工事現場の外国人労働者の雇用可否について、在留カードの記載ごとの詳細を説明していきましょう。
①就労不可
資格外活動許可を得ていれば、週28時間以内のアルバイトとして雇用できます。
②在留資格に基づく就労活動のみ可
雇用できません。工事現場の作業員として認められている在留資格はありません。
③指定書記載期間での在留資格に基づく就労活動のみ可
雇用できません。
ただし、技能実習生計画について外国人技能実習機構の認定を受けた実習実施者であれば、技能実習計画に基づいて一定の職種・作業においてのみ雇用できます。
④指定書により指定された就労活動のみ可
雇用できません。
ただし、特定活動(建設特定活動)の在留資格が与えられた外国人について、特定監理団体と共同で適正監理計画について国土交通大臣の認定を受けた受入建設企業であれば、適正監理計画に基づいて一定の職種・作業においてのみ雇用可能です。(外国人建設就労者受入事業)
⑤就労制限なし
雇用できます。在留資格が「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」である外国人は、就労制限がありません。
就労制限の有無の記載 | 工事現場での雇用可否 | 詳細 |
①就労不可 | △ | 資格外活動許可を得ていれば週28時間以内のアルバイトとして雇用可 |
②在留資格に基づく就労活動のみ可 | ✖ | 工事現場の作業員としての雇用は不可 |
③指定書記載期間での在留資格に基づく就労活動のみ可 | △ | 雇用不可だが、外国人技能実習制度の活用によって一定の職種・作業においてのみ雇用可となる。 |
④指定書により指定された就労活動のみ可 | △ | 雇用不可だが、外国人建設就労者受入事業の制度の活用によって一定の職種・作業においてのみ雇用可となる。 |
⑤就労制限なし | ◎ | 日本人と同じように雇用可 |
外国人を雇用する際は届出の提出が必須
実際に外国人の就労が決まったら、「外国人雇用状況の届出」をハローワークへ提出しなくてはなりません。
提出しなかったり、虚偽の届出をしたりした場合は30万円以下の罰金が科されます。
離職の際も同様に、届出の提出が必須となっています。
詳細は厚生労働省Webサイトにて確認できます。
建設業で外国人労働者を雇用する際の注意点まとめ
- 不法就労であった場合、事業主も処罰の対象となる
- 在留カードは偽造の可能性もあるので現物で確認する
- 外国人の就労・離職の際は「外国人雇用状況の届出」を提出する
建設業専門の行政書士事務所
行政書士法人ストレートは、建設業者サポートに特化した事務所です。
建設業許可申請・経営事項審査・工事入札参加は、相談する行政書士によってその結果が異なることが多くあります。
個人事業~上場企業まで、年間300件以上の手続き実績がある行政書士が対応いたしますので、是非、初回無料相談をご利用ください。
セカンドオピニオンも大歓迎です。お気軽にお問い合わせください。
初回無料相談!
まずはお気軽にご相談ください
建設業許可、経営事項審査、公共工事入札参加は、
行政書士法人ストレートにお任せください!
