建設業の契約の1つに、「単価契約」という契約方式があります。
単価契約自体は違法ではありませんが、偽装請負と判断されるケースがあります。
また、単価契約の際に注意するべきこととは何でしょうか?
この記事では、
- 単価契約とは何か?
- 偽装請負と判断されるケース
- 単価契約した工事が軽微な建設工事に該当するかどうかの判断基準
について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。(2023/5/27更新)
目次
建設業の単価契約とは
建設業の契約の1つに、「単価契約」があります。
単価契約では、あらかじめ数量を確定することが難しいものについて、単位当たりの価格(単価)だけを定めておき、支払金額は供給を受けた実績数量に基づいて算出します。
これに対し、単価、数量および契約金額を確定して行う契約方法を「総価契約」といいます。
建設工事の完成を目的に締結する契約(建設業法第24条)であれば、単価契約であろうと建設工事の請負契約とみなされます。
したがって、例えばコンクリートポンプ打設で単価契約とする場合も、1件の工事に係る全体の量をまとめて1つの契約とする場合も、建設工事の請負契約に該当します。また、主任技術者等の設置や施工体制台帳の記載などについてもその対象となります。
建設業法第24条
- 委託その他いかなる名義をもつてするかを問わず、報酬を得て建設工事の完成を目的として締結する契約は、建設工事の請負契約とみなして、この法律の規定を適用する。
- 引用元:建設業法|e-Gov法令検索e-Gov法令検索
違法(偽装請負)と判断されるケースとは?
建設業法第24条のとおり、建設工事の完成を目的とする契約であれば、単価契約でも工事の請負契約であることに変わりはないので違法ではありません。
違法となるのは、工事の完成が目的ではなく、単なる労働力の提供のみ契約した場合です。
業務の処理をするために費やす労働力(作業員の人数)に関して受発注を行い、請負金額を「人数×単価×時間」で算出している場合は、単なる労働力の提供に過ぎません。
このようなケースは偽装請負と判断されるので、単価契約の際に注意する必要があります。
- ●偽装請負とは、書類上、形式的には請負(委託)契約だが、実態としては労働者派遣であるもの
- ●偽装請負の判断基準のポイントは注文者と受託者の労働者の間に指揮命令関係があるかどうか
- ●指揮命令関係がある場合は請負契約(労働の結果としての仕事の完成を目的とするもの)ではなく「雇用主と労働者」の関係である
- ●偽装請負の代表例・・・請負と言いながら、発注者が業務の細かい指示を労働者に出したり、出退勤・勤務時間の管理を行ったりしているパターン
- 要約:厚生労働省東京労働局HP
建設業許可は必要?軽微な建設工事かどうかの判断について
単価契約した工事が、建設業許可を必要としない軽微な建設工事に該当するかどうかの判断は、全体の請負金額の合計で判断される点に注意が必要です。
たとえば、単価契約で、1ヶ月間の請負契約を締結した場合は、下図のように考えます。
この例では、各工事が500万円未満のため、建設業許可は不要(軽微な建設工事)に思えるかもしれません。
しかし、請け負った工事全体の請負金額の合計は、200万円+100万円+300万円=600万円となるので、軽微な建設工事には該当しません。建設業許可が必要ということです。
軽微な建設工事とは?
- ①建築一式工事については、工事1件の請負代金の額が1,500万円未満の工事または延べ面積が150㎡未満の木造住宅工事
- ②建築一式工事以外の建設工事については、工事1件の請負代金の額が500万円未満の工事
- 引用元:国土交通省HP
単価契約に関するまとめ
- 単価契約とは、あらかじめ数量を確定することが難しいものについて、単位当たりの価格(単価)だけを定めておき、請負金額を実績に基づいて決める契約方式のこと
- 工事の完成が目的ではなく、単なる労働力の提供のみに契約すると偽装請負と判断される
- 軽微な建設工事かどうかは、請け負った工事の金額の合計で判断する
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