建設業者の役員が交通事故を起こし、欠落要件に該当した場合、建設業許可が取り消される可能性があります。
交通事故が欠落要件に該当するのは、どのような場合なのでしょうか?
この記事では、役員が交通事故を起こしたら建設業許可は取り消しなのかについて、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。
目次
監督処分の基準の対象とはならない?
建設業者で役員を務める人が交通事故を起こした場合、許可行政庁による監督処分の対象となるのでしょうか?
まずは監督処分の基準を確認していきましょう。
出典:「国土交通省:建設業者の不正行為等に対する監督処分の基準」より一部抜粋
(1)建設業者の業務に関する談合・贈賄等 |
刑法違反(競売入札妨害罪・談合罪・贈賄罪・詐欺罪)補助金等適正化法違反・独占禁止法違反) |
(2)請負契約に関する不誠実な行為 |
①虚偽申請 ②一括化請負 ③主任技術者等の不設置等 ④祖雑工事等による重大な瑕疵 ⑤施工体制台帳等の不作成 ⑥無許可業者との下請契約 |
(3)事故 |
①公衆危害 ②工事関係者事故 |
(4)建設工事の施工等に関する他法令違反 |
①建設工事の施工等に関する法令違反 ⅰ 建築基準法違反等 ⅱ 廃棄物処理法違反、労働基準法違反等 ⅲ 特定商取引に関する法令違反 ②役員等による信用失墜行為等 ⅰ 法人税法、消費税法等の税法違反 ⅱ 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反(第32条の2第7項の規定を除く。) ③健康保険法違反、厚生年金保険法違反、雇用保険法違反 |
(5)履行確保法違反 |
交通事故は一見、「(3)」「(4)の②」に該当するように思えますが、
- 「(3)事故」は建設工事の施工における事故のこと
- 「(4)の②役員等による信用失墜行為等」は税法違反、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律違反
に限定されています。
この監督処分の基準を確認する限りでは、役員が交通事故を起こしただけで監督処分の対象となるようには見えません。
欠落要件に該当する交通事故とは
交通事故を起こしたからといって、必ず建設業許可が取り消されるというわけではありません。
建設業許可を取り消されるのは、禁固以上の刑を受ける等して、欠落要件に該当した場合です。
欠落要件に該当する交通事故の詳細を説明していきましょう。
禁固以上の刑を受けると欠落要件に該当する
建設業許可には「欠落要件」があり、これに該当すると建設業許可を受けることができません。
建設業許可を受けて営業する建設業者が欠落要件に該当すれば、許可は取り消されます。
交通事故を起こした場合、この欠落要件に該当し、建設業許可を取り消される可能性があります。
欠落要件では「交通事故=建設業許可取消」と規定されているわけではありません。
交通事故について欠落要件に該当するのは、「禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行が終わり、またはその刑の執行を受けなくなった日から5年を経過しない者」です。
自動車運転処罰法などにより、自動車の運転によって人を死傷させる行為等の処罰に関する刑罰が規定されています。
禁固以上の刑を受けることになれば、欠落要件に該当し、建設業許可は取り消されることになります。
欠落要件の全容は「国土交通省:欠落要件」で確認することができます。
禁固以上の刑になる交通事故とは
交通事故には「人身事故」と「物損事故」がありますが、刑罰の対象となるのは「人身事故」がほとんどです。
たとえば、
- 飲酒運転をして人を負傷させる事故を起こした場合は「危険運転致死傷罪」で15年以下の懲役
- 死亡させた場合は1年以上20年以下の懲役
が科されることとなります。
その他、「過失運転致傷罪」で禁固以上の刑が科されるものがあります。
欠落要件に該当しないよう日頃から気を付ける
建設業者の役員が以上のような刑罰を受けることになると、建設業許可が取り消されてしまいます。
許可を取り消されれば、現在受注している仕事ができなくなります。
また、取引先や従業員、家族にも多大な損害を及ぼすことになりかねません。
建設業許可の維持と会社の存続のためには、役員1人ひとりが日頃から様々な法令を意識することが大切です。
役員が交通事故を起こしたら建設業許可は取り消しか?まとめ
- 建設業者の役員を務める人が交通事故を起こし、禁固以上の刑を受けると欠落要件に該当し、建設業許可は取り消しとなる
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