2020年10月1日に改正建設業法が施行され、著しく短い工期の禁止が定められました。
建設業界の課題である長時間労働の是正を目的とした、建設業法の改正による工期の適正化とは、どのようなものなのでしょうか?
この記事では、工期を適正化するための基準について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。
工期の適正化とは?
2020年10月1日に改正建設業法が施行されました。
建設業界では長時間労働と週休2日の確保が課題となっており、改正建設業法によって工期を適正化することで、働き方改革を促進し、長時間労働を是正するための取り組みです。
建設業法の改正点は下記のとおりです。
- ①著しく短い工期による請負契約締結の禁止
- ②工期等に影響を及ぼす事象に関する情報提供
- ③工程の詳細を明らかにする
- ④契約書に工事を施工しない日・時間帯を明記
以下は該当する建設業法の条文です。
- 建設工事の請負契約の当事者は、前条の趣旨に従つて、契約の締結に際して次に掲げる事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。
- ~中略~
- 四 工事を施工しない日又は時間帯の定めをするときは、その内容
- ~以下省略~
-
(著しく短い工期の禁止)第十九条の五 注文者は、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる期間に比して著しく短い期間を工期とする請負契約を締結してはならない。~以下省略~(建設工事の見積り等)第二十条 建設業者は、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとの材料費、労務費その他の経費の内訳並びに工事の工程ごとの作業及びその準備に必要な日数を明らかにして、建設工事の見積りを行うよう努めなければならない。~以下省略~(工期等に影響を及ぼす事象に関する情報の提供)第二十条の二 建設工事の注文者は、当該建設工事について、地盤の沈下その他の工期又は請負代金の額に影響を及ぼすものとして国土交通省令で定める事象が発生するおそれがあると認めるときは、請負契約を締結するまでに、建設業者に対して、その旨及び当該事象の状況の把握のため必要な情報を提供しなければならない。
著しく短い工期の禁止と工期に関する基準
建設工事を施工するために通常必要と認められる期間と比べて著しく短い期間を、「著しく短い工期」と言います。
建設工事はそれぞれ規模・工法・業者が異なるので、一律の工期を設定することはできません。
著しく短い工期とならないためには、多くの要因を考慮して決定する必要があります。
適正な工期を確保するための基準は、中央建設業審議会が作成した、「工期に関する基準」(国土交通省Webサイト)に記載されています。
「工期に関する基準」には、大きく分けて「工期全般にわたって考慮すべき事項」、「工程別に考慮すべき事項」、「分野別に考慮すべき事項」があります。
「工期全般にわたり考慮すべき事項」は、下記の10項目です。
①自然要因 | 降雨日・降雪日、河川の出水期における作業制限等 |
②休日・法定外労働時間 | 改正労働基準法に基づく法定外労働時間 |
③イベント | 年末年始、夏季休暇、GW、農業用水塔の落水期間等 |
④制約条件 | 鉄道近接・航空制限などの立地に係る制約等 |
⑤契約方式 | 設計段階における受注者(建設業者)の工期設定への関与、分離発注等 |
⑥関係者との調整 | 工事の前に実施する計画の説明会等 |
⑦行政への申請 | 新技術や特許公報を指定する場合、その許可がおりるまでに要する時間等 |
⑧労働・安全衛生 | 労働安全衛生法等の関係法令の遵守、安全確保のための十分な工期の設定等 |
⑨後期変更 | 当初契約時の工期の施工が困難な場合、工期の延長等を含め、適切に契約条件の変更等を受発注者間で協議・合意 |
⑩その他 | 施工時期や施工時間、施工法等の制限等 |
出典:工期に関する基準 概要をもとに作成
また、「工程別に熟慮すべき事項」では
- ①準備
- ②施工
- ③後片付け
の工程において考慮すべき事項が記載されています。
それから、「分野別に考慮すべき事項」では
- ①住宅・不動産分野
- ②鉄道分野
- ③電力分野
- ④ガス分野
の各分野において熟慮すべき事項が記載されています。
なお、著しく短い工期であるかの判断基準については、一律に判断することが難しいため、次のようなことを行い、個別に判断されます。
- 休日や雨天など、中央建設業審議会において作成した工期に関する基準で示した事項が考慮されているかどうかの確認
- 過去の同種類似工事の実績との比較
- 建設業者が提出した工期の見積りの内容の精査などを行い、許可行政庁が工事ごとに個別に判断
工期を適正化するための基準まとめ
- 工期の適正化によって働き方改革を促進、長時間労働を是正するの目的がある
- 中央建設業審議会が作成した、適正な工期を確保するための「工期に関する基準」がある
- 著しく短い工期であるかどうかは、一律に判断することが難しいため工期に関する基準や過去の類似した工事、建設業者が提出した工期の見積りの内容等を基に個別に判断される
建設業専門の行政書士事務所
行政書士法人ストレートは、建設業者サポートに特化した事務所です。
建設業許可申請・経営事項審査・工事入札参加は、相談する行政書士によってその結果が異なることが多くあります。
個人事業~上場企業まで、年間300件以上の手続き実績がある行政書士が対応いたしますので、是非、初回無料相談をご利用ください。
セカンドオピニオンも大歓迎です。お気軽にお問い合わせください。
東京・神奈川・埼玉の建設業許可、経営事項審査、公共工事入札参加は専門行政書士にお任せを初回無料相談!
まずはお気軽にご相談ください