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コラム

COLUMN
2022.09.26

建設業における偽装請負の判断基準とは?

形式上は請負契約としているにも関わらず、実態が労働者派遣契約となっていることを偽装請負と言います。

建設業では労働者派遣が認められていないため、偽装請負と判断されると派遣元も派遣先も労働者派遣法違反として罰則を科される可能性がありますから、請負が法令遵守のもと、適正に実施されるようにしなければなりません。

それでは、元請から下請への指示・指導も全て偽装請負と判断されてしまうのでしょうか?偽装請負の判断基準について確認しておきましょう。

この記事では、建設業における偽装請負の判断基準とは何かについて、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。(2023/5/12更新)

建設業における偽装請負とは?

建設業における偽装請負とは、どのような状態を指すのでしょうか?

偽装請負の概要と判断基準について解説しましょう。

形式上は請負契約なのに実態が違う

偽装請負とは、実態としては労働者派遣契約や雇用契約であるにも関わらず、契約書上では形式的に請負契約や業務委託契約となっていることを言います。

請負契約と雇用契約の違いについては分かりづらいところですが、「使用される労働者であるかどうか」にあります。(詳細は次章で説明しています。)

偽装請負いとみなされると、労働者派遣法や職業安定法違反となります。

なぜ偽装請負が起こるのか?

ところで、どうして偽装請負が起こるのでしょうか?

それは、労働者を受け入れる派遣先の建設業者に

  • 残業手当を支給しなくていい
  • 社会保険料や雇用保険料を負担しなくていい

といったようなメリットがあることが理由です。

労働者派遣契約や雇用契約の場合、残業手当の支給や社会保険料の負担は法律上義務となっています。

けれどもこうした義務を免れるために、形式上は請負契約として締結するのです。

労働者にしてみれば本来受け取るべき報酬が減って不利益でしかないため、偽装請負は禁止されています。

偽装請負を行った派遣元も派遣先も法令違反(労働者派遣法・職業安定法)によって「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」に処せられる可能性があり、行政指導、改善命令等、公表等を受ける可能性があります。

なお、建設業において労働者派遣の建設現場での作業が禁止されている理由についての詳細は、こちらの記事をご覧ください。

偽装請負の判断基準のポイント

偽装請負にあたるかどうかの判断基準は、

  • 注文者と労働者の間に指揮命令関係があるか

がポイントです。

請負契約であれば「注文者と請負人」という関係になります。

しかし、注文者と労働者の間に指揮命令関係があれば、それは請負契約ではなく「雇用主と労働者」の関係です。

したがって、労働者派遣契約や雇用契約に該当する可能性が高いことになります。

元請から下請への指示・指導も全て偽装請負と判断されるのか?

元請けから下請の作業員に対しての指示・指導の全てが偽装請負とみなされるわけではありません。

どこまでの指示・指導が問題となるのか、しっかり把握しておくことが重要です。

元請が下請の作業員に直接作業工程や技術指導をすると偽装請負になる?

元請が下請に注文した工事に関して、下請の作業員に

  • 順序・方法の指示や技術指導
  • 作業員の配置
  • 作業員ひとり一人の作業の分担

を行うと、指揮命令関係があることになり、偽装請負となります。

ただし、元請が導入した新たな機械を工事で操作する場合等、元請から下請への説明・指示等だけで対応できなければ、下請の監督の下で、元請が下請の作業員に対して機械の操作方法等を説明しても問題ありません。

このように、適切な請負契約であると判断されるためには、下請が自己の雇用する労働者の労力を自ら直接利用し、業務を自らのものとして元請から独立して処理するなどの要件を満たす必要があります。

(参考:厚生労働省Webサイト「労働者派遣事業と請負により行われる事業との区分に関する基準」)

元請が下請の作業員に対して安全衛生のために必要な指示をすることは問題ない

元請が下請けの作業員に対して、直接作業指示や技術指導を行うことは偽装請負となることは前章にて先述したとおりです。

では、安全衛生のために必要な指示を行った場合も偽装請負になるのでしょうか?

結論を言うと、安全衛生のために必要な指示・指導は法令遵守のために不可欠なものなので、偽装請負とは判断されません。

なぜなら、労働安全衛生法第29条により、元請は下請及び下請の作業員が労働安全衛生法の規定に違反しないよう指示・指導をすることが定められているからです。

建設業法第29条
(元方事業者の講ずべき措置等)
第29条 元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行なわなければならない。
2 元方事業者は、関係請負人又は関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、この法律又はこれに基づく命令の規定に違反していると認めるときは、是正のため必要な指示を行なわなければならない。
3 前項の指示を受けた関係請負人又はその労働者は、当該指示に従わなければならない。

建設業における偽装請負の判断基準とは?まとめ

  • 偽装請負とは、契約書上では請負契約や業務委託契約となっているのに、実態は労働者派遣契約や雇用契約であること
  • 偽装請負の判断基準は「注文者と労働者の間に指揮命令関係がある」かどうか
  • 元請から下請に対して順序・方法の指示や技術指導、作業員の配置や作業員ひとり一人の作業の分担を行うと偽装請負と判断される
  • 元請から下請けに対して安全衛生のための指示・指導を行うことは法令遵守に必要なため偽装請負と判断されることはない

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行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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