建設工業新聞【2021年7月6日】
国土交通省は、スマートフォンなどで誰でも無料で受講できるよう、ウェブサイトで公開している技能者向け研修プログラム「建設技能トレーニングプログラム(建トレ)」の内容を拡充した。
建設キャリアアップシステム(CCUS)の能力評価でレベル2相当の技能習得を目的とした「中堅編」を追加。VR(仮想現実)やAR(拡張現実)、モーションキャプチャーなどを駆使し技能を「見える化」したデジタル教材も別途作成した。
建トレは初弾の「初級編」「職長編」「指導者編」を2018年5月に公開。第2弾として初級編と職長編の中間の技能レベルを念頭に、▽とび土工▽型枠大工▽鉄筋工▽内装工(クロス張り・床張り)▽同(鋼製下地・ボード貼り)▽塗装工▽左官工▽電気工▽機械土工▽圧接技術▽エクステリア専門工-の中堅編11種類と、中堅技能者の心構えを説いた「共通編」を作成した。
各職種でレベル2に求められる専門知識や技能、作業手順やポイントなどをテキストと映像解説付きの電子ブックにまとめた。熟練工と若手の比較映像も収録。職人の目線にカメラを設置し、作業している両者の視線の違いなどを体感できるようにした。
新たに公開した「建トレ・デジタル教材ライブラリー」にもスポーツ科学の手法を用い、熟練工と若手の作業動作を比較分析するコンテンツを用意。「若手にテキストで読み取れないものを発見してもらいたい」(不動産・建設経済局建設市場整備課担当者)という狙いがある。
3Dモデルを用いたコンテンツも充実させた。VRやARを活用し、建設現場の仮想体験や設計図面の理解促進に役立てる。モーションキャプチャーで熟練工の動きを3Dデータ化し見える化する試みも始めた。今後もデジタル教材は随時更新し「熟練技能をアーカイブ化し継承していく」(同)としている。
第2弾は関係業界団体や企業、大学などが監修・協力し、富士教育訓練センターを運営する全国建設産業教育訓練協会が制作した。将来的には各編で扱い切れていない職種の拡充も視野に入れる。
建トレウェブサイト(https://kentore.jp/)のアクセス数は1カ月平均8,000回程度。デジタル教材ライブラリーウェブサイト( https://dx.kentore.jp//)とともに、さらなる活用促進を図る。