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2023.02.17

建設業の財産的基礎要件|会社設立直後や建設業許可更新時の資産要件確認について

建設工事を請負い、施工するには、資材の購入及び労働者の確保、機械器具等の購入など、一定の準備資金が必要です。

そのため、建設業許可を受けるためには一定以上の資産を有していることが要件とされていて、これを財産的基礎といいます。

許可に必要な財産的基礎は一般建設業許可と特定建設業許可で異なる基準が定められているので確認し、計画的に要件を満たせるよう運営する必要があります。

建設事業者は、建設業許可を維持するために自社の決算内容をしっかり把握できるようしておくことが大切です。

この記事では、建設業の財産的基礎要件について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。

財産的基礎要件とは何か?

建設工事を請負い、施工するには、資材の購入及び労働者の確保、機械器具等の購入など、一定の準備資金が必要です。

したがって、建設業許可を受けるためには一定以上の資産を有していることが要件とされていて、これを「財産的基礎」といいます。

財産的基礎は申請段階でこれから紹介する金額以上の資産があるかどうかで判断されます。

また、次の表で記したように一般建設業と特定建設業では財産的基礎の基準が異なり、特定建設業許可における要件のほうが厳しいものとなっています。

一般建設業許可 特定建設業許可
以下のいずれかに該当すること 以下のすべてに該当すること
①自己資本の額が500万円以上であること ①欠損の額が資本金の額の20%を超えていないこと
②500万円以上の資金を調達する能力を有すること ②流動比率が75%以上であること
③許可申請直前の過去5年間許可を受けて継続して営業した実績を有すること ③資本金の額が2,000万円以上であり、かつ自己資本額が4,000万円以上であること

それぞれの財産的基礎要件を詳しく説明していきましょう。

一般建設業の場合の財産的基礎要件

一般建設業許可は、500万円(建築一式は1,500万円)以上の工事を請負う建設事業者が受けなければならない許可です。

この基準から、一般建設許可を受けるには次のいずれかの財産的基礎を有していることが要件とされています。

①自己資本が500万円以上あること

自己資本とは、一言で言えば「資産-負債」のことで、返済を要しない資産がいくらあるのかというイメージです。

この自己資本は、建設業許可を申請する日の直前の確定した決算内容により判定されます。

建設業許可申請において「財務諸表」という決算内容を反映した書類の提出が必要であり、そのうちの貸借対照表(様式第15号)における純資産合計の額により判定されるためです。

要するに、直近の決算書の純資産が500万円以上になっていれば、財産的基礎の要件はクリアしているということです。

よくある勘違いとして、「資本金」が500万円以上でなければならないと考えている方がいますが、資本金ではなく「決算書の純資産」と覚えるとわかりやすいでしょう。

法人の自己資本

法人の場合は、決算書のうち貸借対照表における「純資産の部」の「純資産合計」の額がそのまま自己資本として評価されます。

この自己資本が500万円以下の場合は、次項の500万円以上の資金調達能力を有することを証明する必要があります。

個人事業の自己資本

個人事業の場合は少し複雑で、次のとおり計算することにより自己資本の額を算出できます。

  • (期首資本金+事業主借+事業主利益)-事業主貸+(利益留保性引当金+準備金)

個人事業の場合は面倒な計算式がありますが、財務諸表を正しく作成したうえで、貸借対照表における純資産が500万円を超えるようであれば別途計算をする必要はありません。

②500万円以上の資金を調達する能力があること

こちらはシンプルで、金融機関で500万円以上の預金残高証明書を発行してもらえばOKです。

あくまで証明しているのは資金調達能力なので、建設業許可申請直前に一時だけ口座に入れた残高でも問題ありません。

この預金残高証明書の有効期限は申請の日から遡って1ヶ月以内なので注意が必要です。

ただし、この資金調達能力があることを証明する方法は申請する都道府県によって取扱いにバラつきがあるので、事前に申請窓口に問合せして確認するといいでしょう。

③直前5年間許可を受けて継続して営業した実績のあること

建設業許可には5年に一度の更新がありますが、許可取得以降の決算変更届を毎年しっかり提出していれば自己資本が500万円以下でも問題ありません。

また、預金残高証明書の提出も求められません。

そもそも決算変更届の未提出があると更新は認められないので、一般建設業許可における更新においては資産要件は「実質ない」ような扱いとなっています。

会社設立直後の場合は?
会社設立後、第1期決算を迎える前に申請を行う場合、設立時貸借対照表により純資産が500万円以上であれば自己資本500万円以上の要件をクリアしていることになります。
設立時資本金が500万円以下である場合は、通常通り500万円以上の預金残高証明書を用意しましょう。

特定建設業の場合の財産的基礎要件

特定建設業許可業者は、規模の大きな工事請負が想定されており、下請負人保護の観点から一般建設業許可より厳格な要件となっています。

次の4つを直前の決算において全てクリアする必要があります。

  • 欠損比率20%以下
  • 流動比率75%以上
  • 資本金2,000万円以上
  • 純資産額4,000万円以上

この基準については、やはり申請直前の決算における貸借対照表により判断されますが、①資本金だけは決算確定後に変更しても構いません。

①欠損比率20%以下

  • {繰越利益剰余金の負の額-(資本剰余金+利益準備金+その他利益剰余金)}÷資本金×100

上記計算式により算出された数字が20以下であれば問題ありません。

そもそも繰越利益剰余金に負の額がない場合は計算するまでもなく欠損比率の要件をクリアしているということになります。

②流動比率75%以上

流動比率とは、1年以内に現金化できる資産が、1年以内に返済すべき負債をどれだけ上回っているかを表すもので、会社の短期的な支払能力や安全性が分かります。

  • 流動資産合計÷流動負債合計×100

上記計算式により算出された数字が75以上であればOKです。

流動資産合計が流動負債合計より1円でも多ければ計算するまでもなく要件を満たしていることになります。

③資本金2,000万円以上

資本金の額とは、法人の場合は登記されている資本金、個人事業の場合は直前決算における期首資本金のことをいいます。

現金出資、現物出資等の内訳は問われないほか、他科目からの振り替えでも問題ないので繰越利益剰余金を資本金に組み込んで資本金2,000万円を満たす会社も多く見受けられます。

④純資産4,000万円以上

一般建設業許可の項目で説明した自己資本と全く同じ考え方で、単純にその額が4,000万円に増えると理解してもらって構いません。

決算直前の試算で「純資産4,000万円に届かないかもしれないが、どうしても特定建設業許可がほしい」という人は、期中に純資産が4,000万円に達する額を増資(資本金を増やす)という方法も考えられます。

許可更新時の財産的基礎要件について

一般建設業許可と異なり、特定建設業許可の場合は5年に一度の更新審査においても直前決算における財産的基礎を満たしている必要があります。

毎年提出する決算変更届ですが、特定建設業許可業者の場合は、更新直前の決算変更届において資産要件をクリアしているかどうかしっかり確認しましょう。

許可申請の際に特定建設業許可を満たせそうにない時はどうすべきか?

特定建設業者が今期の業績が落ち込んでいて、今期の決算内容次第では特定建設業許可の要件を満たせそうにない場合、特定建設業許可は直ちに取り消されてしまうのでしょうか?

結論から言うと、決算後1年以内に許可申請がない場合は特定建設業許可が直ちに取り消されることはありません。

先述したとおり、建設業者は毎年事業報告(決算変更届)を提出するので決算の内容は許可行政庁が確認できる状態にありますが、財産的基礎要件の確認は決算ごとに行われるものではなく、許可申請の直前の決算内容で行われるからです。

ただし、翌事業年度内に更新申請を行う場合は気を付ける必要があります。

更新申請直前の決算内容によって特定建設業許可の要件を満たせそうにないとなると、特定建設業許可の更新ができません。

この場合は特定建設業許可の更新ができないので、事前に般特新規申請を行い、一般建設業許可に変更しておく必要があります。

会社設立直後の場合は?
一般建設業許可と同様、第1期決算前であれば、設立時貸借対照表における純資産が4,000万円以上であれば要件を満たしていることになります。
つまり、会社設立直後に特定建設業許可を申請するには、設立時資本金は4,000万円以上にする必要があるということです。

会社の場合は決算期を変更して資産要件を満たす方法もある

会社の場合は、決算期を変更して財産的基礎の要件を満たすという方法でも問題ありません。

具体的には、会社の決算期は定款で定められているので、まずは株主総会(合同会社の場合は社員総会)で事業年度に関する内容を変更し、その旨を税務署に届出することで決算期の変更ができます。

建設業の財産的基礎要件まとめ

  • 財産的基礎要件は一般建設業と特定建設業で異なり、特定建設業の要件はより厳密な要件となっている
  • 一般建設業許可の更新においては、財産的基礎要件は実質ないものと扱われている
  • 財産的基礎の要件は許可申請直前の決算内容次第なので、特定建設業許可の財産的基礎要件を満たせそうにないからといって直ちに許可が無くなるわけではない

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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  • VOICE.01
    株式会社電商ネット様

    エアコン工事がメインなので管工事業の建設業許可を実務経験10年の証明により取得してもらいました。最初の要件診断や必要書類等の説明が非常にスムーズで、すぐに信頼できるなと感じました。ホームページからの出会いですが、行政書士法人ストレートに依頼して本当に良かったです。

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    許可取得までがあっという間で助かりました。実務経験証明での申請は難しいと聞いていたので、許可を取得することができて嬉しいです。これで特定技能や技能実習生の雇用も進めることができます。許可の維持管理もすべて行政書士法人ストレートにお任せしたいと思います。

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「近所だから」「安いから」という理由だけで依頼する行政書士を選ぶと、許可取得までに時間がかかったり、許可を取得できないということも考えられます。特殊な法律やルールの多い建設業に関する手続きは、専門の行政書士にご相談いただけることを願います。