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2023.02.27

【建設業許可】建築一式工事とは?建築一式工事の取得要件を解説

建設業許可の29業種のうち、建築工事業(建築一式工事)とはどのような工事をいうか正しく理解されているでしょうか?

建築一式工事とは総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事のことをいいますが、元請業者の立場で複数の下請業者を管理して施工する大規模で複雑な工事をイメージするとわかりやすいかと思います。

「建築一式工事があればどんな工事も請負える」というのはよくある誤解で、このあたりの判断を間違えないよう正しい認識を持つことが大切です。

建築一式工事とはどんな工事か?に加え、建築一式工事を取得するためにクリアすべき専任技術者の要件と実務経験の証明方法についても解説しましょう。

この記事では、建築一式工事と取得要件について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。

建築工事業(建築一式工事)とは?

建築一式工事とはどんな工事をいうのでしょうか?

業種区分、建築一式工事の内容、誤解されがちな工事への認識について解説していきましょう。

建築一式工事とは?|建設業許可の業種区分

建設業許可は、2種類の一式工事業と27種類の専門工事業の計29業種に分類されています。

この建設工事の種類ごとに許可を取得しなければなりません。

建築工事業は、1,500万円以上の「建築一式工事」を請負うのに必要となる許可業種で、2種類の一式工事業のうちの1つです。

ただし、1,500万円以上の建築一式工事でも、延べ面積150㎡未満の木造住宅に関する工事は軽微な工事として扱われるため、建築工事業の建設業許可を受けていなくても請負うことができます。

なお、元請業者として建築一式工事を請負い、下請業者に合計7,000万円以上発注する場合は、建築工事業の特定建設業許可が必要となるので注意しましょう。

建設業許可|29種類の業種区分

一式工事(2種類) 土木一式工事
建築一式工事
専門工事(27種類) 大工工事 鉄筋工事 熱絶縁工事
左官工事 舗装工事 電気通信工事
とび・土光・コンクリート工事 しゅんせつ工事 造園工事
石工事 板金工事 さく井工事
屋根工事 ガラス工事 建具工事
電気工事 塗装工事 水道施設工事
管工事 防水工事 消防施設工事
タイル・れんが・ブロック工事 内装仕上工事 清掃施設工事
鋼構造物工事 機械器具設置工事

建築一式工事の内容

建築一式工事とは、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事のことをいいます。

元請業者の立場で、複数の下請業者を管理して施工する大規模で複雑な工事というイメージです。

下請業者が元請業者から一式工事を請け負うことは、一括化請負の禁止に反する可能性があるので原則ありません。

建築一式工事の例
戸建新築工事・共同住宅新築工事・ビル新築工事・商業施設新築工事・建築確認を要する増改築工事など。

建築工事業(建築一式工事)のよくある誤解に注意

建築工事業(建築一式工事)の建設業許可を受けていれば、「内装仕上工事」などのどんな専門工事も金額の制限なく請負えるという誤解は非常に多く見受けられます。

しかし、あくまでも建築工事業(建築一式工事)の建設業許可をもって金額の制限なく請負えるのは「建築一式工事」のみで、何でもできるわけではありません。

先ほど「建築一式工事の例」で挙げた工事のなかに内装仕上工事も内訳として含まれているものについては、建築一式工事の附帯工事(主要な工事のために必須の工事)として内装仕上工事の施工が可能です。

ところが新築等ではなく、内装仕上工事を単独で請負う場合で金額が500万円以上を超えるケースでは内装仕上工事業の建設業許可を受ける必要があるので注意しなくてはなりません。

「内装仕上工事」を例に挙げましたが、大工工事、屋根工事、塗装工事などその他の専門工事についても同様です。

このあたりの判断については、附帯工事について解説した記事をご覧いただくと参考になるでしょう。

建築工事業の専任技術者要件

建設業許可を受けるには、業種ごとに一定以上の資格または実務経験を有する人を営業所に配置しなければなりません。

建築工事業(建築一式工事)の専任技術者の資格要件について説明していきましょう。

なお、専任技術者についての詳しい解説はこちらの記事をご覧ください。

建築工事業の専任技術者になれる資格

  • 一級建築士
  • 二級建築士
  • 一級建築施工管理技士
  • 二級建築施工管理技士(建築)
  • 監理技術者資格者※

※監理技術者資格者証の「建築工事業」に数字が記載されている必要があります。

特定建設業許可の場合は上記資格のうち、一級資格者、監理技術者資格者だけが専任技術者になることができます。

実務経験により専任技術者になる場合

上記のような資格がなくても、建築一式工事の施工について10年以上の実務経験を有する人は、建築工事業の専任技術者になることができます。

また、建築工事業に係る指定学科の高校を卒業している場合は卒業後5年、大学を卒業している場合は卒業後3年の実務経験を有していれば専任技術者になることができます。

建築工事業に係る指定学科

  • 建築学
  • 都市工学

上記の学科の高校または大学を卒業している場合は、必要な実務経験期間の短縮が認められます。

建築学、都市工学に関する学科として認められる具体的な学科名には次のようなものがあります。

建築学に関する学科
環境計画科・建築科・建築システム科・建築設備科・建築第二科・住居科・住居デザイン科・造形科
都市工学に関する学科
環境都市科・都市科・都市システム科

上記の類似学科名に記載がない学科でも、履修内容が上記のような建築に関するものであると認められる場合は、個別相談により指定学科とみなしてもらえるケースもあります

この場合は、卒業証明書とあわせて履修証明書や成績証明書など取り寄せ、どのような内容の学習をしたかを提示して事前に審査庁に相談しましょう。

建築一式工事の実務経験の証明方法(必要書類)とは?

建築工事業の専任技術者の要件を実務経験によって満たすためには、経験を有することはもちろんですが、その経験を書類で証明できるかどうかが重要です。

建築一式の実務経験を証明するうえで最初に確認するべきことは、経験を積んだ企業が在籍時に建築工事業の建設業許可を受けていたかどうかです。

各ケースの必要書類は次のとおりです。

許可あり企業での経験の場合

  • 被保険者記録照会回答票
  • 建設業許可通知書の写し
  • 専任技術者証明書
  • 実務経験証明書
  • 指定学科の卒業証明書
  • 健康保険被保険者証の写し

許可なし企業での経験の場合

  • 被保険者記録照会回答票
  • 工事請負契約書等
  • 専任技術者証明書
  • 実務経験証明書
  • 指定学科の卒業証明書
  • 健康保険被保険者証の写し

必要書類それぞれの詳細について

先ほど紹介したそれぞれの必要書類の詳細について、どんな書類で、なぜ必要なのかを解説していきましょう。

被保険者記録照会回答票=これまでの年金記録

この書類は、いわゆる専任技術者になろうとする人のこれまでの年金記録です。

年金事務所に行くと即日発行してもらえる書類で、どの企業の厚生年金保険にいつからいつまで加入していたかを確認できます。

この書類により、まずは建築一式工事を経験した企業に常勤で在席していたことを証明します。

取締役として登記されていれば認められる場合もある
審査庁によっては、取締役として登記されていれば厚生年金保険に加入していなくても過去の常勤を認めるというルールを設けている場合があります。
実務経験証明証明の準備着手時に申請先の自治体に確認するといいでしょう。

建設業許可通知書の写し=建設業許可の新規取得時・更新時に発行される書類

建設業許可新規取得時、5年に一度の更新時にすべての会社・個人に発行される書類です。

A4一枚の普通紙で発行されますが、とても重要な書類で、建設業許可の業種や有効期限が記載されています。

建設業許可通知書に建築工事業と記載があり、その有効期間中、被保険者記録照会回答票によってその企業に在籍していたことを証明できれば、その期間における建築一式工事の実務経験が認められることが多いです。

ただし、通知書に記載されている許可の有効期間の満了時に更新手続きをせず、許可が抹消されている企業については、抹消の日までの経験を認めてくれる行政庁と認めてくれない行政庁に分かれるので必ず事前に確認しましょう。

許可の通知書が手に入らない時は申請先の窓口に問い合わせる
建設業許可申請の実務においては、許可の通知書がなくても行政側が行政内での確認により許可の有無を確かめてくれる場合が多いです。
許可の通知書が手に入らない場合は、申請先の窓口に問い合わせしましょう。

工事請負契約書等=許可を受けていない企業での経験を証明する場合に必要

建築工事業の建設業許可を受けていない企業でも、1,500万円以下または150㎡未満の木造住宅の建築一式工事(軽微な建設工事)については、請負い及び施工をすることができます。

こうした建築工事業の建設業許可を受けていない企業における経験も専任技術者の実務経験年数に含めることができますが、この場合、建築一式工事を請負っていたことを証明するために工事請負契約書等を証明する期間通年分用意する必要があります。

工事請負契約書ではなく、

  • 注文書
  • 請書
  • 請求書(通帳で入金確認)

などでも認められるケースもありますが、建築一式工事は元請業者の立場での経験を求められる業種なので、現実的には工事請負契約書での証明することになるでしょう。

専任技術者証明書=個人情報や資格・実務経験などを記載する書類

建設業許可申請書類のなかに、様式八号の専任技術者証明書という書式があります。

【例】様式第八号 専任技術者証明書(東京都都市整備局HP)

ここには、

  • 専任技術者の氏名
  • 住所
  • 生年月日等の個人情報

の他、専任技術者が担当する業種ごとの資格の種類または実務経験など、どのように要件を満たしているのかを記号により記載することになっています。

実務経験証明書=実務経験により専任技術者の要件を満たす場合のみ必要な書類

続いて、様式第九号の実務経験証明書という書式があります。

【例】様式第九号 実務経験証明書(東京都都市整備局HP)

この書類は、専任技術者の要件を実務経験で満たす場合にのみ必要となる書類で、建築士や建築施工管理技士の資格により要件を満たす場合は不要となります。

実際に担当した建築一式工事について具体的に記載し、その経験年月が必要な期間を満たすように記載しましょう。

また、前述した

  • 被保険者記録照会回答票における厚生年金加入の期間
  • 建築工事業の建設業許可が有効であった期間
  • 工事請負契約等が用意できる期間と同期間の経験

などを記載する必要があります。

指定学科の卒業証明書=学歴により実務経験証明年数を短縮する場合の必要書類

建築学または都市工学に関する学歴により実務経験証明年数を短縮する場合、学校から卒業証明書を取り寄せて、基本的には原本を提出することになっています。

卒業証明書の取り寄せ方法は、学校ごとに案内があるはずなので、卒業した学校に確認してみましょう。

健康保険被保険者証の写し=常勤であることを証明する

専任技術者が、建設業許可を申請する企業に現在常勤であることを健康保険証の写しを提出することにより証明します。

なお、後期高齢者である場合や健康保険組合のカードデザインの都合上、健康保険証に申請する企業名が記載されていない場合は健康保険証の写しとあわせて、次のいずれかの書類等により常勤を証明する必要があります。

  • 健康保険・厚生年金保険の標準報酬決定通知書
  • 住民税特別徴収税額決定通知書
  • 法人の場合は直近の法人税確定申告書における役員報酬明細
  • 個人事業の場合は直近の確定申告書
  • 被保険者記録照会回答票
  • 健康保険組合発行の資格証明書

※上記一覧は申請先ごとの審査基準により異なる可能性があります。

※神奈川県等、一部の審査庁では専任技術者が代表取締役である場合には健康保険証の写しを求めないという取り扱いもあります。

建築一式工事に関するまとめ

  • 建築工事業(建築一式工事)は元請業者の立場で、複数の下請業者を管理して施工する大規模で複雑な工事
  • 一式工事の許可があればどんな工事も行えるわけではない点に注意
  • 建築一式工事の専任技術者の要件を実務経験により満たす場合は書類で証明できるかどうかが重要

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行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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