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2023.04.24

特定建設業許可とは?建設業専門の行政書士が徹底解説

建設業許可は、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」の2つに区分されています。

一般建設業許可と特定建設業許可の違いは、元請業者の立場で請負った工事につき、下請業者への発注金額に制限があるかないかです。

特定建設業許可が必要となるケースや、その取得要件について解説していきましょう。

この記事では、

  • 特定建設業許可が必要な事業者と元請の立場について
  • 下請業者への発注金額の考え方
  • 特定建設業の専任技術者の要件(資格・実務経験)・財産的基礎の要件
  • 特定建設業で課される義務(下請けへの支払い・指導等、施工体系図等の作成)

について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。

特定建設業許可が必要な事業者とは

建設事業者は、元請業者の立場で請負った工事を下請業者に4,000万円以上発注する場合、その請負契約を締結する時点で特定建設業許可を受けている必要があります。

ただし、新築工事や建築確認を要する増築工事等の「建築一式工事」だけは、その発注金額の制限が6,000万円まで引き上げられます。

あくまで発注金額の制限であり、請負金額には制限がないので、例えば10億円の工事を元請として請負った場合でも、制限以上の金額を下請業者に発注することなく自社で施工する場合は、一般建設業許可でも問題ないということになります。

元請業者の立場とは何か?

建設工事における元請業者の立場とは、建築工事や室内設備工事であれば建物の所有者、土木工事や外構工事であれば土地の所有者など、いわゆる施主と直接請負契約を締結する建設事業者のことをいいます。

特定建設業許可は、この元請事業者にのみ必要な許可なので、下請業者(1次下請)がさらにその下請業者(2次下請)に発注する金額が上記制限額を超えたとしても、1次下請業者は特定建設業許可を受ける必要はありません。

商社が発注者と契約をする場合

「発注者と建設業者の間に商社が入り工事の請負いがされる」というケースもありますが、この場合は、商社が建設業許可を受けなければなりません。

もちろんその発注金額が上記制限金額を超える場合は、商社に特定建設業許可が必要となります。

一括下請の禁止

建設業法では、請負った工事を丸ごと下請業者に任せる一括下請は禁止されています。

この規定は、一括で発注する行為だけでなく、一括下請として請負う側の下請業者も違反に該当するので、上記のように商社が絡む場合などは特に注意しなければなりません。

ただし、多数の人が利用するような施設ではない民間工事において、あらかじめ発注者から書面による承諾を得ている場合は一括下請が認められます。

【国土交通省】一括下請負の禁止について

下請業者へ発注する金額の考え方

上記のとおり、建築一式工事は6,000万円、それ以外の工事は4,000万円と発注の制限金額が定められています。

この発注金額とは、すべての下請業者に対する発注額を合算した額なので注意が必要です。

発注金額に含まれるもの

下請業者への発注金額には、次のような金額も含むルールになっているので確認しておきましょう。

  • 発注金額に係る消費税
  • 元請業者が提供する材料の市場価格
  • 元請業者が提供する材料の運送費用
  • その他建設工事に必要な諸経費

特定建設業許可における専任技術者の要件

特定建設業許可は、一般建設業許可と比べると、「専任技術者」と「財産的基礎」の要件が厳しく設定されています。

大規模な工事の請負が想定される許可なので、技術に関する知識や資金力が求められているということです。

特定建設業許可の専任技術者の要件から解説していきましょう。

特定建設業許可の専任技術者

特定建設業許可の専任技術者には、次のいずれかを満たす人しかなることができません。

  • 一級資格者または技術士
  • 監理技術者資格者
  • 指導監督的実務経験を有する人

一級資格者の一覧

一級資格者とは、

  • ①一級建設機械施工技士
  • ②一級土木施工管理技士
  • ③一級建築施工管理技士
  • ④一級管工事施工管理技士
  • ⑤一級電気工事施工管理技士
  • ⑥一級電気通信施工管理技士
  • ⑦一級造園施工管理技士
  • ⑧一級建築士

の8つの資格者のことをいいます。

第一種電気工事士や一級計装士、一級技能士(技能検定)の資格では特定建設業許可の専任技術者要件を満たさないので注意しましょう。

技術士について

技術士法における技術士試験に合格し、登録証を有している人のことをいいます。

資格ごとの対応業種一覧

↑リンク先一覧表のうち◎印の業種につき、特定建設業許可の専任技術者になることができます。

監理技術者資格者とは?

監理技術者資格者とは、一般財団法人建設業技術者センターが発行する監理技術者資格者証を有している人のことをいいます。

出典:一般財団法人建設業技術者センター

指導監督的実務経験の内容

指導監督的実務経験とは、工事施工全般について、元請業者の立場で現場主任または現場監督のようなポジションで工事の技術面を総合的に指導した経験のことをいい、この経験が2年以上(工期で数える)ある場合は特定建設業許可の専任技術者になることができます。

指導監督的実務経験が認められる工事と認定されるには、次のすべてを満たす工事である必要があります。

  • 完成した工事である
  • 元請として請負った工事である
  • 請負金額が4,500万円以上である

なお、

  • 土木工事業
  • 建築工事業
  • 電気工事業
  • 管工事業
  • 鋼構造物工事業
  • 舗装工事業
  • 造園工事業

7業種は「指定建設業」といい、実務経験で特定建設業許可の専任技術者になることが認められていません。指導監督的実務経験は、その他の22業種についてのみ適用される制度です。

専任技術者についての詳しい記事はこちら

特定建設業許可の財産的基礎

特定建設業許可を受けるためには、次の4つの資産要件をすべて満たす必要があります。

  • ①欠損比率20%以下
  • ②流動比率75%以上
  • ③資本金2,000万円以上
  • ④純資産額4,000万円以上

この基準については、許可申請日直前の決算おける貸借対照表により判断されますが、資本金だけは決算確定後に変更して満たしても構いません。

①欠損比率20%以下の計算式

貸借対照表の数字を次の式に当てはめて計算します。

繰越利益剰余金の負の額-(資本剰余金+利益準備金+その他利益剰余金)÷資本金×100

②流動比率75%以上の計算式

貸借対照表の数字を次の式に当てはめて計算します。

流動資産合計÷流動負債合計×100

③資本金2,000万円以上とは

資本金の額とは、法人の場合は登記されている資本金、個人事業の場合は直前決算における期首資本金のことをいいます。

④純資産4,000万円以上とは

貸借対照表のなかの純資産の部の純資産合計の額をいいます。

個人事業の場合は、決算内容を次の式に当てはめて計算します。

(期首資本金+事業主借+事業主利益)-事業主貸+(利益留保性引当金+準備金)

財産的基礎についての詳しい記事はこちら

特定建設業者に課される義務

特定建設業許可業者には、

  • ①下請業者への支払いについての義務
  • ②下請業者への法令遵守指導
  • ③施工体制台帳等の作成

が建設業法において厳格に定められています。それぞれについて解説していきましょう。

①下請業者への支払い

特定建設業者は、発注者等から支払いを受けたかどうかにかかわりなく、工事完了の日から50日以内に、下請業者に対して工事発注代金を支払う義務を負います。(建設業法第24条の6)

発注者から支払いを受けていないからといって、下請業者に対する支払いを遅らせることは認められないので注意しましょう。

②下請業者に対する指導等

特定建設業許可業者は、元請として請負った工事について、下請業者へ工事の発注をする場合、その下請業が工事施工に関して建設業法や労働使用に関する法令の規定に違反しないよう指導する必要があり、また、下請業者の違反を確認したときは、その是正を求める必要があります。(建設業法第24条の7)

さらに、下請業者が違反を是正しない場合、その下請業者の建設業許可を管轄する行政庁にその旨を通報しなければならないと規定されています。

③施工体系図等の作成

特定建設業許可業者は、元請として請負った工事につき、下請業者に総額3,000万円以上(建築一式の場合は4,500万円以上)の工事を発注する場合、施工体制台帳及び施工体系図を作成し、工事現場に備え置かなければなりません。(建設業法第24条の8)

施工体制台帳は、公共工事の際に行政に提出する必要があることから、公共工事の場合のみ必要と思われがちですが、民間工事においても作成が義務付けられているので注意しましょう。

国土交通省Webサイト「施工体制台帳等の作成義務」

保管義務と期間について
施工体制台帳は帳簿の添付書類として工事完了後5年間の保管義務があります。
施工体系図については営業に関する図書として工事完了後10年間の保管義務があります。

特定建設業許可まとめ

特定建設業許可の取得には一般建設業許可よりも厳しい要件がいくつかありますが、下請業者と協力して大きな規模の工事を請負うことができるメリットを備えた許可です。

「大は小を兼ねる」の考え方で、一般建設業許可でないとできない工事というものはなく、特定建設業許可業者であれば、一般建設業許可業者にできることはすべてできます。

自社が請負っている工事、また、今後請負っていきたい工事には特定建設業許可が必要なのかどうかを確認し、特定建設業許可が必要な場合には、財務状況や技術者の確保を計画的に進めていきましょう。

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行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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お客様の声

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    株式会社電商ネット様

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    許可取得までがあっという間で助かりました。実務経験証明での申請は難しいと聞いていたので、許可を取得することができて嬉しいです。これで特定技能や技能実習生の雇用も進めることができます。許可の維持管理もすべて行政書士法人ストレートにお任せしたいと思います。

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