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コラム

COLUMN
2023.08.14

建設副産物とは?処理に関する規定と契約締結時の留意点

建設現場では、土砂やコンクリート塊等の再生資源、産業廃棄物が発生します。これらを建設副産物といい、法の規定に従って適正に処理を行わなければなりません。

建設副産物とは何か、建設副産物の処理に関する規定、建設工事の請負契約締結の際の留意点について説明していきましょう。

この記事では、建設副産物について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。

記事の要点

この記事をわかりやすく要約した内容を先に紹介しましょう。

  • 建設工事に伴い副次的に得られるすべての物品(建設発生土・コンクリート塊・建設発生木材・建設汚泥・金属くず等々)を建設副産物という。→詳細へ
  • 建設副産物の適正な処理については「廃棄物処理法」「資源の有効な利用の促進に関する法律」「建設業法」による規定がある。→詳細へ
  • 建設副産物の適正処理実施者とそれに要する経費の負担者の区分は明確化して契約書面の内訳書に明示することが望ましい。→詳細へ
  • 下請負人の見積書に建設副産物の処理に要する経費が明示されているにもかかわらず、元請負人がこれを尊重しない場合(一方的な経費相当額の削減等)、建設業法に違反するおそれがある。→詳細へ

それぞれについて詳しく解説していきます。

建設副産物とは何か?

建設副産物とは、建設工事に伴い副次的に得られるすべての物品のことです。国土交通省のWebサイトによれば、建設副産物の種類には次のようなものが挙げられます。

建設副産物の種類

  • 工事現場外に排出される建設発生土
  • コンクリート塊
  • アスファルト・コンクリート塊
  • 建設発生木材
  • 建設汚泥
  • 紙くず
  • 金属くず
  • ガラスくず・コンクリートくず(※)・陶器くず(またはこれらのものが混合した建設混合廃棄物など)

※工作物の新築、改築又は除去に伴って生じたものを除きます

出典:国土交通省Web「建設副産物の定義」

建設現場で発生した廃棄物交じりの土砂等は、建設現場等で土砂等と廃棄物に分別する必要があります。また、分別された廃棄物は、廃棄物処理法(廃棄物処理及び清掃に関する法律)に基づいて適正な処理を行わなければなりません。

建設副産物の処理に関する規定

建設副産物の適正な処理に関する法律は次のとおりです。

  • 廃棄物処理法
  • 資源の有効な利用の促進に関する法律
  • 建設業法第19条の3

これら3つの規定について解説していきましょう。

廃棄物処理法について

廃棄物処理法では、事業者はその事業活動に伴い発生した廃棄物について、責任をもって適正に処理しなければならないと規定しています。

建設工事では、原則として発注者から直接建設工事を請負った元請負人が排出事業者としての義務を負うことになります。

排出業者の責務と役割

  • ①建設工事等における排出事業者には、原則として元請業者が該当する。
  • ②排出事業者は、建設廃棄物の発生抑制、再生利用等による減量化に努めなければならない。
  • ③排出事業者は、自らの責任において建設廃棄物を廃棄物処理法に従い、適正に処理しなければならない。
  • ④排出事業者は、建設廃棄物の処理を他人に委託する場合、廃棄物処理法に定める委託基準に従い、収集運搬業者及び中間処理業者又は最終処分業者とそれぞれ事前に委託契約を書面にて行い、適正な処理費用の支払い等排出事業者として適正処理を確保しなければならない。

出典:環境省Webサイト「建設工事等から生ずる廃棄物の適正処理について」

資源の有効な利用の促進に関する法律について

廃棄物が混じっていない土砂等は、資源の有効な利用の促進に関する法律に基づき、発注者から直接建設工事を請負った元請負人のもと、他工事での利用など再生資源としての利用を促進する必要があります。

建設業法第19条の3|処理に要する経費も「通常必要と認められる原価」に含まれる

建設工事に伴って生じる建設副産物を再生資源として利用したり、処分場等に運搬して処理したりするための経費は、建設業者が負担しなければならない義務のある費用であり、「通常必要と認められる原価(建設業法第19条の3)」に含まれます。

建設業法第19条の3
(不当に低い請負代金の禁止)
第19条の3 注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
出典:e-Gov法令検索|建設業法

建設副産物をめぐる建設工事の請負契約締結の際の留意点

元請負人・下請負人は、建設工事に伴って生じた建設副産物の適正な処理のため、次の2点を明確化します。

  • ①建設副産物の適正処理実施者
  • ②それに要する経費の負担者の区分

そして、書面による契約締結を踏まえて契約書面の内訳書などに明示することが望ましいとされています。

この時、下請負人は、自ら実施しなければならない建設副産物の処理に要する経費を適正に見積り、元請負人に交付する見積書に明示するようにします。

なお、元請負人は建設業法第18条を踏まえ、対等な立場で下請負人との契約交渉をしなければなりません。この時、次のような行為があった場合、建設業法に違反するおそれがあるので注意が必要です。

建設業法違反となるおそれのある行為

  • 下請負人の見積書に建設副産物の処理に要する経費が明示されているにもかかわらず、当該経費相当額を一方的に削減または含めない金額で建設工事の請負契約を締結し、その結果「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合
  • 契約締結後状況により追加的に発生した建設副産物の処理等に要する費用を下請負人に負担させ、その結果「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合

詳細はこちら:建設業法違反となる取引とは?適正取引について行政書士が解説

以上、建設副産物について解説しました。

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行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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