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2023.08.28

【建設業法】不当に低い請負代金の禁止|違反したら罰則を受ける?

建設業法第19条の3では、不当に低い請負代金の額で工事を発注することが禁止されています。

建設工事の請負契約においては、お互いが対等な立場における合意に基づいた契約を締結(建設業法第18条)しなければなりませんが、元請負人がその立場を利用し、原価を下回る請負代金の額で下請負人に契約締結を強いる行為は対等な取引関係にあるとは言えません。

建設業法第19条の3に違反した場合の罰則はありませんが、違反すれば国土交通大臣または都道府県知事から勧告・公表を受けることになり、経営に及ぼす影響を考えれば法令遵守に努めることは当然と言えるでしょう。

したがって、元請負人が注意しなければならない違反行為について把握しておくことが大切です。

この記事では、不当に低い請負代金の禁止について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。

記事の要点

この記事をわかりやすく要約した内容を先に紹介しましょう。

  • 不当に低い請負代金の禁止とは、注文者(元請負人)が自己の取引上の地位を不当に利用して通常必要と認められる原価に満たない金額で請負人(下請負人)と契約締結することを禁止するもの→詳細へ
  • 「自己の取引上の地位の不当利用」とは、取引上優越的な地位にある元請負人が、下請負人を経済的に不当に圧迫するような取引等を強いること→詳細へ
  • 「通常必要と認められる原価」とは、当該工事の施工地域において、その工事を施工するために一般的に必要と認められる価格をいう→詳細へ
  • 契約締結後に契約内容の変更があった場合も下請代金が通常必要と認められる原価に満たない金額である場合は「不当に低い請負代金の禁止」に違反するおそれがある→詳細へ
  • 「不当に低い請負代金の禁止」に違反した場合の罰則はないが、国土交通大臣または都道府県知事から勧告・公表の対象となり、これを受けると会社の評判にも関わる→詳細へ

関連:(関連する別の記事のタイトルにリンク(内部リンク)を貼ります。

不当に低い請負代金の禁止とは何か?

不当に低い請負代金の禁止(建設業法第19条の3)について、その定義と条文の意味するところについてわかりやすく説明していきましょう。

不当に低い請負代金の禁止とは

建設業法においては、不当に低い請負代金の禁止(建設業法第19条の3)が定められています。

この法律は、注文者(元請負人)が自己の取引上の地位を不当に利用して、その建設工事の施工に通常必要と認められる原価に満たない金額を請負人(下請負人)と締結することを禁止するものです。

立場の強い元請が、下請に対して原価に満たない請負金額での請負契約を強いることは建設業法違反となるのです。

建設業法第19条の3
注文者は、自己の取引上の地位を不当に利用して、その注文した建設工事を施工するために通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならない。
出典:e-Gov法令検索|建設業法

「自己の取引上の地位の不当利用」とはどのような場合か

取引上優越的な地位にある元請負人が、下請負人を経済的に不当に圧迫するような取引等を強いることは「自己の取引上の地位の不当に利用」に該当します。

「取引上の優越的な地位」と「地位の不当利用」の詳細は次の通りです。

①取引上の優越的な地位 下請負人にとって元請負人との取引継続の困難は事業経営上大きな支障をきたすため、元請負人が下請負人に不利益な要請を行っても、下請負人は受け入れざるを得ない場合があります。取引上優越的な地位にあたるかどうかは、元請下請間の取引依存度等により判断されます。
②地位の不当利用 元請負人は下請負人を選べることを背景に下請負人に不当に低い請負代金での取引等を強いたかどうかは、下請代金の額を決定する際、元請下請間で十分な協議が行われたかどうか等の対価決定方法等によって判断されます。たとえば、元請が一方的に価格を決定し、取引を強いる「指値発注」は地位の不当利用にあたります。

「通常必要と認められる原価」の内容

当該工事の施工地域において、その工事を施工するために一般的に必要と認められる次の価格の合計額を「通常必要と認められる原価」といいます。

  • 直接工事費
  • 共通仮設費及び現場管理費よりなる間接工事費
  • 一般管理費(利潤相当額は含まない)

発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドラインによれば、

具体的には、受注者の実行予算や下請先、資材業者等との取引状況、さらには当該施工区域における同種工事の請負代金額の実例等により判断することとなる。

とされています。

引用:発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドライン

「不当に低い請負代金の禁止」は契約変更にも適用される

「不当に低い請負代金の禁止」は、契約締結後に契約内容の変更があった場合にも適用されます。

たとえば、

  • 途中で元請負人が原価の上昇を伴うような工事内容の変更をしたにもかかわらず、それに見合った下請代金の増額をしない
  • 一方的に下請代金を減額することで原価を下回る

といった場合も違反行為に含まれます。

関連:建設工事の請負契約書を交付するタイミングはいつ?

違反となるおそれがある行為|違反した場合の罰則は?

発注者・受注者間における建設業法令遵守ガイドラインによれば、不当に低い請負代金の禁止(建設業法第19条の3)に違反するおそれのある行為事例は次のとおりです。

  • ①発注者が、自らの予算額のみを基準として、受注者との協議を行うことなく、受注者による見積額を大幅に下回る額で建設工事の請負契約を締結した場合
  • ②発注者が、契約を締結しない場合には今後の取引において不利な取扱いをする可能性がある旨を示唆して、受注者との従来の取引価格を大幅に下回る額で、建設工事の請負契約を締結した場合
  • ③発注者が、請負代金の増額に応じることなく、受注者に対し追加工事を施工させた場合
  • ④発注者の責めに帰すべき事由により工期が変更になり、工事費用が増加したにもかかわらず、発注者が請負代金の増額に応じない場合
  • ⑤発注者が、契約後に、取り決めた代金を一方的に減額した場合

以上のような違反行為があった場合でも罰則はありませんが、国土交通大臣または都道府県知事から勧告・公表の対象となります。いくら罰則がないとはいえ、勧告等を受けることは会社の評判にも関わるため、法令遵守の意識が必要です。

以上、不当に低い請負代金の禁止について解説しました。

 

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行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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