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コラム

COLUMN
2021.05.24

経営事項審査について解説

国、地方公共団体などが発注する公共工事の入札には参加資格が必要であり、この参加資格を得るために必要な手続きのなかに経営事項審査というものがあります。経審(ケイシン)と略して呼ばれいているものですね。

工事発注機関は、入札参加資格の審査において「客観的評価」と「主観的評価」の2つを点数化し、入札参加事業者を格付しています。

この客観的評価にあたるのが経営事項審査の結果として計算された点数です。

格付けされたランクにより入札できる工事の規模が決まるため、公共工事を請負いたい建設業者にとって経営事項審査はとても重要な手続きといえます。

審査基準日

経営事項審査は、原則として申請をする日の直前の決算日が審査基準日となります。2期前の決算日を審査基準日として申請することは認められないので注意しましょう。

公共工事入札参加までの流れ

STEP
1
建設業許可を受ける

入札参加を進めることができるのは建設業許可業者に限られています。建設業許可を受けるには一定以上の経営経験、技術者在籍、資産能力、誠実性を満たす必要があり、最低限の信用がここで担保されます。

STEP
2
決算・確定申告

税務署に確定申告を行います。以下のステップはすべてこの最新の決算内容を基準に手続きを進めていくことになります。

STEP
3
経営状況分析申請

国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関に経営状況分析申請を行い、結果通知書を受け取ります。これは、建設業者を会計的な立場から点数化するものです。

STEP
4
建設業決算報告

建設業許可行政庁へ提出する「決算変更届」や「事業年度終了報告」と呼ばれるものです。すべての建設業許可業者に義務付けられている手続きで、入札に参加しない企業にとっても必須とされています。

STEP
5
経営事項審査申請

「ケイシン」と呼ばれるもので、完成工事高、技術者数、経営状況、自己資本額、平均利益額、社会性などを点数化し、企業の能力を客観的に判断できるようにするものです。

STEP
6
入札参加資格審査申請

入札参加を希望する発注機関へ、それぞれ定められた方法に従い入札参加資格審査申請を行います。ここで承認されてようやく入札に参加することができます。

手続きを専門家に委任する場合は、ステップ2は税理士、その他は行政書士となります。

経営事項審査の有効期限

公共工事を入札するには、常にその入札参加資格を有効に保つ必要があります。継続して入札に参加する事業者は毎年経営事項審査を受ける必要があり、有効期限は審査基準日から1年7ヶ月と定められています。

有効期限内に翌期分の経審結果が出ていないと公共工事を請負う資格を喪失してしまうので注意しましょう。

経営事項審査の仕組み

経営事項審査は、申請企業の客観的な評価が数字により明確化される仕組みになっていて、具体的には次の5項目が点数化されます。

  • 業種別完成工事高(X1)
  • 自己資本・平均利益(X2)
  • 経営状況分析の結果(Y)
  • 技術力(Z)
  • 社会性(W)

カッコ内のアルファベットはそれぞれの項目のことを表す記号として使用されます。

総合評定値(P)

この各項目を次のように計算することで、総合評定値(P)が算出されます。P点は、経営事項審査を受ける業種ごとに算出されます。

総合評定値(P)=×0.25(X1)+×0.15×(X2)+0.2×(Y)+0.25×(Z)+0.15×(W)

各記号に決められた数字を掛けたものの合計が総合評定値(P)になるということです。そして、それぞれの記号と掛けている数字は、P点を構成する各項目の割合(ウェイトと呼ばれています)となります。

計算式やグラフのとおり、経営事項審査において総合評定値への影響の大きさは完成工事高と技術力が一番高く、次に経営状況分析の結果、次に自己資本額及び平均利益額と社会性という順番になっています。

「完成工事高X1」と「技術力Z」の2つは、下の例のように業種ごとに分けて計算することになります。

  土木工事業 建築工事業
X1 1,000 1,200
X2 1,000
Y 800
Z 800 1,000
W 960
P 904 1,004

次に、経営事項審査における総合評定値(P)を構成している5つの項目について解説していきます。

完成工事高(X1)

この完成工事高とは、経営事項審査を受ける業種ごとに直前2期または 直前3期の年間完成工事高の平均をもとに計算します。

P点の構成のうち25%を占める項目なので、経営事項審査を受ける業種の売上はとても重要となります。

2期分または3期分の業種ごとの平均売上高を一覧表にあてはめて計算するとX1の点数が算出できます。

X1の詳しい解説はこちら

自己資本額・平均利益額(X2)

P点の構成のうち15%を占める項目で「自己資本額」と「平均利益額」の2点から、次の計算式により算出される仕組みとなっています。

X2 =(自己資本額評点+利益額評点)÷ 2

自己資本額、利益額それぞれの評点の計算方法を説明していきます。

自己資本額とは

自己資本額とは、決算書のうち貸借対照表における純資産の合計額のことをいいます。X2における自己資本額の評価は、審査基準日または直前2期平均のいずれかを選択できます。

決算書で直前の自己資本額または直前2期の自己資本額の平均を確認したら、次の計算表にあてはめることで自己資本額の評点を算出することができます。

平均利益額とは

平均利益額とは、営業利益に減価償却費を足し戻した額のことをいい、その2期平均で評価される仕組みになっていて、企業の収益力を計ることができます。

直前2期につきそれぞれ、損益計算書にある「営業利益」に「減価償却費」を加えた額を計算し、その平均を次の計算表にあてはめることでX2の点数を算出することができます。

X2の詳しい解説はこちら

経営状況分析(Y)

経営状況分析は、総合評定値P点の20%を占める項目で、国土交通大臣による登録を受けた分析機関が行います。分析機関はどこを選んでもOKで、経営状況分析の結果に違いはないので自社に合うシステムの分析機関を選ぶようにしましょう。現在、登録されている分析機関は次の10社です。

  • (一財)建設業情報管理センター
  • (株)マネージメント・データ・リサーチ
  • ワイズ公共データシステム(株)
  • (株)九州経営情報分析センター
  • (株)北海道経営情報センター
  • (株)ネットコア
  • (株)経営状況分析センター
  • 経営状況分析センター西日本(株)
  • (株)NKB
  • (株)建設業経営情報分析センター

経営状況分析の点数の計算はとても複雑であり、さらに個別の対策が難しいので、よほど興味を持っている人以外は読み飛ばしてください。

経営状況評点(Y)の計算方法

経営状況(Y)の評点=1.67×経営状況点数+583

上記計算式により経営状況(Y)の点数が算出できます。式の中にある経営状況点数は次の計算式により算出します。

経営状況点数=-0.4650×(Y1)-0.0508×(Y2)+0.0264×(Y3)+0.0277×(Y4)+0.0011×(Y5)+0.0089×(Y6)+0.0818×(Y7)+0.0172×(Y8)+0.1906 

さらに上記式のY1~Y8を算出する方法を続けて記載します。

純支払利息比率(Y1)

(支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100
(上限:5.1%・下限:-0.3%)

負債回転期間(Y2)

(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)
(上限:18.0ヶ月・下限:0.9ヶ月)

総資本売上総利益率(Y3)

売上総利益÷総資本(2期平均)×100
(上限:63.6%・下限:6.5%)

売上高経常利益率(Y4)

経常利益÷売上高×100
(上限:5.1%・下限:-8.5%)

自己資本対固定資産比率(Y5)

自己資本÷固定資産×100
(上限:350.0%・下限:-76.5%)

自己資本比率(Y6)

自己資本÷総資本×100
(上限:68.5%・下限:-68.6%)

営業キャッシュフロー(Y7)

営業キャッシュ・フロー÷1億(2年平均)
(上限:15.0億円・下限:-10.0億円)

利益剰余金(Y8)

利益剰余金÷1億
(上限:100.0億円・下限:-3.0億円)

Yの詳しい解説はこちら

技術力(Z)

技術力の評点は、総合評定値(P)の25%を占める超重要な項目で、点数は次のように計算します。

Z =技術職員数の点数×0.8+元請完成工事高の点数×0.2

上記計算式のとおり、技術力(Z)は「技術職員数」と「元請完成工事高」の2つで構成されています。

技術職員数(業種別)

技術職員の評点の計算は、まず、経営事項審査を受ける業種ごとに加点対象となる資格保有者の数と決められた数字を掛けて技術職員数値を算出します。

  • 一級かつ監理技術者数×6
  • 一級技術者数×5
  • 一級技補士数×4
  • 基幹技能者数×3
  • 二級技術者×2
  • その他技術者×1

例えば、監理技術者1名、一級建築士2名、二級建築士2名の場合、6+(5×2)+4=20となります。

次に、技術職員数値を以下の計算表にあてはめて計算します。

元請完成工事高(業種別)

直前2年または直前3年の年間平均元請完成工事高をもって元請完成工事高とし、次の計算表にあてはめて算出します。

完成工事高なので、建設業以外の売上(兼業売上)は含まないので注意しましょう。

Zの詳しい解説はこちら

社会性(W)

経営事項審査における社会性とは、建設事業者が社会的な責任を果たしているかどうかを中心に評価されるもので、総合評定値(P)の15%を占めるものです。ウェイトは他の項目と比べて高くありませんが、最高点の引き上げがありP点に与える影響は大きいです。社会性Wの評点の算出方法は次のとおりです。

W=W1+W2+W3+W4+W5+W6+W7+W8+W9)×10×190/200

以下では上記計算に必要なW1~W9について解説していきます。

労働福祉の状況(W1)

雇用保険、健康保険及び厚生年金保険、建設業退職金共済制度、退職一時金制度または企業年金制度、法定外労働災害補償制度の加入・導入の有無により算出します。

建設業の営業年数(W2)

建設業許可を受けてから現在までの営業年数をもとに算出します。

防災協定締結の有無(W3)

国、特殊法人等、地方公共団体等との間で防災協定を締結している場合に 15点加点されます。

法令遵守の状況(W4)

審査対象年に営業停止を命ぜられたことがある場合に減点されます。

建設業の経理に関する状況(W5)

監査受審状況の点数+公認会計士・建設業経理士等の数の点数」で算出します。

研究開発の状況(W6)

研究開発費の平均の額をもとに算出します。

建設機械の保有状況(W7)

建設機械の保有台数より算出します。

ISOの登録状況(W8)

ISO規格登録の状況により算出します。

若年技術者の育成及び確保の状況(W9)

前回審査時から増加した若年技術者の人数により算出します。

Wの詳しい解説はこちら

経営事項審査まとめ

公共工事入札に必要となる経営事項審査ですが、その仕組みや手続きは複雑でわかりにくいです。

  • 公共工事入札に参加してみたい
  • 元請体制にシフトして会社を安定させたい
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といった方は、行政書士法人ストレートへお問い合わせください。

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行政書士法人ストレート
行政書士 大槻 卓也
執筆者

建設業特化の行政書士法人ストレートの代表行政書士。年間申請数は300件を超える。建設業者のみならず行政書士、他士業からも多くの相談を受けるプロが認める専門家。誠実、迅速な対応で建設業者の発展に貢献します。

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当社は、建設業関連業務に特化している行政書士法人です。東京都、神奈川県、埼玉県を中心に建設業許可に関する手続きを年間300件以上代行しており、難易度の高い申請の実績も豊富です。

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