建設業許可における営業所には、「主たる事務所」と、「従たる事務所」の2種類があります。いずれも、常時建設工事の請負契約を締結する事務所のことをいい、次の要件を備えている必要があります。
- 来客を迎え入れることができる
- 工事の見積り、請負契約等の事務を行っている
- 電話、机、事務台帳、応接場所が備わっている
- 他社または住居等と明確に区分されている
- 経営業務管理責任者または支店長が常勤している
- 専任技術者が常勤している
- 営業所としての使用権原を有している
- 看板、標識等で外部から建設業の営業所であるとわかる
主たる事務所と従たる事務所
上記のとおり、建設業許可の営業所には「主たる事務所」と「従たる事務所」の2種類があります。
主たる事務所
主たる事務所は、本社や本店等と呼ばれ、経営業務管理責任者と専任技術者が常勤する事務所であり、建設業に関する営業を統括する事務所です。
従たる事務所が1つもなく、主たる事務所のみで営業する建設業者が圧倒的に多いです。
主たる事務所は、必ずしも法人の登記上の本店である必要はありません。登記上の本店では建設業を営まず、別の事務所が建設業における営業所である場合、建設業許可においては、その営業所のことを事実上の事務所として「主たる事務所」とします。
従たる事務所
従たる事務所は、主たる事務所以外のすべての建設業を営む事務所のことをいい、「〇〇支店」や「〇〇営業所」と名付けられることが多いです。
従たる事務所には、経営業務管理責任者の代わりに、工事請負契約締結等の代理権限を委譲されている支店長の常勤が必要です。この支店長のことを、建設業法施行令第3条に定められる支配人といい、一般的には令3条使用人と呼ばれています。
また、従たる事務所で受けている建設業許可の業種に関する専任技術者の常勤も必要となります。
従たる事務所が主たる営業所とは別の都道府県に設置されている場合は、都道府県の知事許可ではなく国土交通大臣許可が必要となります。
営業所に該当しないもの
単なる登記上の本店や、建設業と無関係な支店、経理業務等の事務作業を行うだけの事務所、倉庫等は建設業法における営業所には該当しません。
自宅の一室を事務所にする
居住部分と事務所が明確に区分されている場合は、自宅の一室を事務所として使用することも認められます。ただし、玄関、廊下、階段だけを通り事務所へたどり着けることが求められますので、リビング等の居住部分を通り抜けないと事務所の部屋にたどり着けない場合は注意しましょう。
会社名等の表記は、表札や郵便受けの他、事務所として使用する部屋のドアにも掲示しましょう。テプラ等でも審査においては問題ありません。
営業所要件の確認資料
建設業許可申請の際、営業所としての要件を満たしているかは、写真により判断されます。
- 建物の全景
- 建物の入口
- 看板や郵便受け(商号表記)
- 事務所内部をあらゆる角度から
- 事務機器、電話、複合機、応接スペース
- 自宅の一室である場合は玄関からの経路
上記のように細かく写真を撮影し、提出します。
「自宅の一室を事務所とする場合」や、「他社との区分がわかりにくい場合」は、事務所の場所を明確に記した平面図もあわせて提出する必要があります。
建設業許可の営業所まとめ
建設業許可申請の際、営業所についても意外と厳しく審査されます。
許可申請を前提に事務所を購入または借りる場合、必ず事前に許可要件を満たしているかを確認するようにしましょう。