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コラム

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2023.07.31

安全衛生経費の確保|建設工事現場における労働災害防止対策とは?

建設業における労働災害の発生は全体の産業の中でも高い割合を占め、令和4年に発生した労働災害において死亡者数は全体の死亡者数が774人のうち、281人でした。

死亡や障害が残る重篤な災害の発生が多い建設業では、労働災害防止のために、安全に対する理解と対策が重要です。さらなる労働災害防止対策を講じるためには、十分な安全衛生経費の確保が必要です。

この記事では、建設工事現場における労働災害防止対策について、建設業専門の行政書士法人ストレートが解説します。

記事の要約

  • 労働安全衛生法は、建設工事現場において元請負人および下請負人に対してそれぞれの立場に応じて労働災害防止対策を講ずることを義務付けており、対策に要する経費は元請負人等が義務的に負担しなければならない→詳細へ
  • 元請負人は、建設工事現場における労働災害防止対策を適切に実施するため、労働災害防止対策の実施者および経費負担者を明確化する必要がある→詳細へ
  • 労働災害防止対策の実施者および経費負担者を明確化する流れは「①元請負人による見積条件の提示、②下請負人による労働災害防止対策に要する経費の明示、③契約交渉、④契約書面における明確化」→詳細へ
  • 下請負人から交付された労働災害防止対策に要する経費が明示された見積書を元請負人が尊重せず、経費相当額を一方的に削減したり、経費相当額を含めない金額で建設工事の請負契約を締結し、「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合は建設業法に違反するおそれがある。→詳細へ

関連記事:建設業法における見積期間の規定

労働災害防止対策に取り組む義務について

労働安全衛生法は、建設工事現場において元請負人および下請負人に対してそれぞれの立場に応じて、労働災害防止対策を講ずることを義務付けています。

この対策に要する経費(安全衛生経費)は、元請負人および下請負人が義務的に負担しなければならない費用なので、建設業法第19条の3に規定する「通常必要と認められる原価」に含まれます。

安全衛生経費とは?

安全衛生経費とは、建設工事従事者の安全及び健康を確保するうえで、必要不可欠な経費のことです。建設業界は労働災害が多く、安全衛生経費の確保は現場での安全確保に欠かせません。

画像出典:安全衛生経費確保のためのガイドブック

労働災害防止対策の実施者とその経費の負担者を明確にすることが必要

元請負人は、建設工事現場における労働災害防止対策を適切に実施するため、見積条件の提示の際、労働災害防止対策の実施者およびそれに要する経費の負担者の区分を明確にします。

こうすることで、下請負人が自ら実施しなければならない経費労働災害防止対策を把握できるとともに、自ら負担しなければならない経費を適正に見積もることができるようにしなければなりません。

「安全な建設工事のために適切な安全衛生経費の確保が必要です-労働災害防止についての建設業法令遵守ガイドラインの改訂-」によれば、建設工事請負契約を締結する際は、次のような流れで労働災害防止対策の実施者および経費負担者を明確化します。

労働災害防止対策の実施者および経費負担者の明確化の流れ

①元請負人による見積条件の提示 元請負人は、見積条件の提示の際、労働災害防止対策の実施者及びその経費の負担者の区分を明確化し、下請負人が自ら実施する労働災害防止対策を把握でき、かつ、その経費を適正に見積もることができるようにしなければなりません。
②下請負人による労働災害防止対策に要する経費の明示 下請負人は、元請負人から提示された見積条件をもとに、自らが負担することとなる労働災害防止対策に要する経費を適正に見積った上、元請負人に提出する見積書に明示する必要があります。
③契約交渉 元請負人は、「労働災害防止対策」の重要性に関する意識を共有し、下請負人から提出された労働災害防止対策に要する経費」が明示された見積書を尊重しつつ、建設業法第18条を踏まえ、対等な立場で契約交渉をしなければなりません。
④契約書面における明確化 元請負人と下請負人は、契約締結の書面化に際して、契約書面の施工条件等に、労働災害防止対策の実施者及びその経費の負担者の区分を明確化するとともに、下請負人が負担しなければならない労働災害防止対策に要する経費は、施工上必要な経費と切り離し難いものを除き、契約書面の内訳書などに明示することが必要です。

参考:「安全な建設工事のために適切な安全衛生経費の確保が必要です-労働災害防止についての建設業法令遵守ガイドラインの改訂-

下請負人は、元請負人から提示された労働災害防止対策の実施者およびそれに要する経費を適正に見積り、元請負人に交付する見積書に明示します。

元請負人はこの見積書を尊重しつつ、建設業法第18条を踏まえ、対等な立場で下請負人との契約交渉をしなければなりません。

建設業法に違反または違反するおそれがある不適切な対応の具体例

下請負人から適正な労働災害防止対策に要する経費が明示されているにもかかわらず、元請負人が経費相当額を一方的に削減したり、経費相当額を含めない金額で建設工事の請負契約を締結し、その結果「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合、当該元請・下請間の取引依存度等によっては、建設業法第19条の3の「不当に低い請負代金の禁止」に違反するおそれがあります。

不適切な対応の具体例は次のとおりです。

  • 元請負人が、あらかじめ見積条件において、下請負人の負担であることを明示していないにもかかわらず、一方的に提供・貸与したヘルメットなどの労働災害防止対策の費用を下請代金の支払時に差し引く行為
  • 元請負人が、あらかじめ契約書面において、下請負人の負担であることを明示していないにもかかわらず、一方的に提供・貸与したヘルメットなどの労働災害防止対策の費用を下請代金の支払時に差し引く行為
  • 元請負人が、労働災害防止対策に要する費用を差し引くなどにより、その結果「通常必要と認められる原価」に満たない金額となる場合

引用:「安全な建設工事のために適切な安全衛生経費の確保が必要です-労働災害防止についての建設業法令遵守ガイドラインの改訂-

建設業法第18条
建設業法第18条では、「建設工事の請負契約の当事者は、各々の対等な立場における合意に基づいて公正な契約を締結し、信義に従って誠実にこれを履行しなければならない」と規定しています。

以上、建設工事現場における労働災害防止対策について解説しました。

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行政書士 大槻 卓也
執筆者

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